ToMoLog’s blog

海外大学院について、ストックホルム大学院についてのあれやこれやをつづっていきます。皆さんの海外留学・スウェーデン留学のお供となれるようなブログを目指しています。

ストックホルム大学院について~教育学部編~

 

f:id:ToMoLog:20201209002811p:plain

こんにちは、お久しぶりです!

先週そういえばストックホルムでは少し雪が降りました。段々と本格的に冷え込む季節がやってきたので覚悟をしなければ!!という反面と、「雪積もらないかな?わくわく!」という気分が混ざり合っている最近です(笑)

街もクリスマス仕様になってきており、さりげない可愛さが街に広がってきています。

 

f:id:ToMoLog:20201204044232p:plainf:id:ToMoLog:20201204044325p:plain

 

皆さんもうすぐクリスマスですね。

今回のブログはそんなクリスマスの話とは全く1ミリも関係ないストックホルム大学院の話をします。

と言っても、私は別にストックホルム大学のことを何でも知っているプロというわけではありませんので、今日は私がここで何を学んでいるのかについてちょっとご紹介していきます~!

 

専攻ー国際比較教育学部

                f:id:ToMoLog:20201205224420p:plain

 

私はストックホルム大学院教育学部の中の国際比較教育という学問を現在専攻しています。英語に直すとEducation with International and Comparative Specialisation という長い名前になります。

International and Comparative と学科の名前にも書いてある通り、院では国際的な視点で各国・各地域の教育政策を比較するような授業を行っています。

 

教師を目指している学部なの?

国際比較教育学科では、教師になるためのトレーニングや教育法などのプラクティカルな内容を中心に学ぶというよりかは、政策面などの教育を改善するための方法を学んでいきます。

なので、学科自体は教師になるためのTeacher Trainingなどを学べる場所ではありませんので、気になっていらっしゃる方はそこだけ注意が必要です。
(教員免許を取れるわけではないということです。)

 

逆に言えば、出願申請時に教員免許の保有は特に応募書類に含まれませんので、

学部時代のバックグラウンドは特に教育学部でなくでも申請できます。

 

私も学部時代は国際文化学部という学部で、(人文学部に属するのでしょうか?)教育学部とは全く関係ない学部を専攻していたのでその辺はご心配なさらず!

今までの経験を通していかに教育政策面に興味があるかの方が大事だと思います。

 

教育比較って何をするの?研究分野は何でもいいの?

                            f:id:ToMoLog:20201205223651p:plain

 

先ずは教育比較という分野についてなのですが、まあその名の通りある特定の教育分野に対して、国または地域ごとに比較して類似点や相違点について勉強します。

 

学部の名前にInternational と Comparativeが入っているように、学部での研究はいかに「国際的」な視点で教育を「比較」できるのかに重きが置かれます。

 

ところで、「教育」と聞かれたら、皆さん何を想像するでしょうか??

 

教育と聞くと、もしかしたら小学校や中学校、高等学校、または大学など、よくある教育機関などで行われる教育のイメージがあるかと思います。

 

しかし、それだけではありません。教育は全てにおいて必要な分野です。

例えば新しい会社に入社した時、研修を受けると思いますが、それも立派な「教育」分野の一つです。

 

塾やオンラインで受講できる語学レッスンなど、いわゆるノンフォーマル教育と呼ばれる分野ももちろん教育の一つです。

 

同期に映画製作における教育面について研究している人もいるし、特別教育、移民のための語学教育、Prison Educationと呼ばれる、刑務所に入っている人に向けて行う教育、職業訓練のための教育(日本語では職業教育と呼ばれるみたいです)なんかも「教育」の一つですよね。

 

つまり、「教育学」=学校などの期間における教育というイメージがありますが、そういうわけではなく、国際比較教育学部では自分の興味のある分野の中での教育政策を研究することができます。
 

具体的にどんなことを勉強しているの?

期間は2年間で、4タームに分かれています。第3タームまでは授業があり、毎月の月末(もしくは2か月に一度。単位数によって変わります)に授業内容に関する論文を提出します。基本的には大学院なので、自身の興味に合わせて研究し、レポートを提出するのですが、

授業のレポートでは、その授業で学んだことを内容に取り入れているか、授業の参考文献を使っているかなど、条件が授業ごとに課されており、その条件も満たさなければなりません。

もしも他の分野に興味が出てきたら、授業で自分のやりたい研究分野とは全く違う論文を書くことも可能です。私は基本的に英語教育について研究していましたが、ジェンダーに関するレポート論文を提出したこともあります。そのあたりは結構自由です。

他の大学や学部ではまた変わってきますが、大学院と聞くと、基本的にスーパーバイザー(修論を指導する人)が最初についていて、授業も特に多くはなく、自身の研究分野に没頭して研究していく、というイメージが多いかもしれませんが、

 

国際比較教育学科では、修士生2年の12月ぎりぎりまで授業があり、割とみっちりと授業が詰まっています。さらに言えば第3ターム半ば(2年の後半)まで自分のスーパーバイザーが誰だかわかりません。

とまあそんな感じです。

 

授業内容は本当に多岐にわたります。少しホームページに書いてある授業内容を見ながらさらっとどんなことをやったか&個人的な感想を紹介してみようと思います!

 

※2019年度時点のカリキュラムに対する感想ですので、今の内容は少し変わっているかもしれません!


※2021年3月に大学側が新しくウェブサイトを更新したみたいなのでURLも新しく更新しました!

 

※2023年5月:無事に卒業したので、以前かけていなかった最後2つの授業の感想も追加しました!

The Program Overview (2023年現在)

第1ターム

International and Comparative Education(9~10月)

…色々な教授から国際比較教育に必要な様々な視点について学ぶオムニバス授業。国際比較教育入門の授業。

このコースの論文は、「とりあえず書いてみい!」みたいな感じで書かされる。

 

Theory of Science (11月)

…英語で社会学系の論文を書くときには、自分がどの視点に立って物事を考えるのか(=理論的枠組み:Theoretical Framework)が大事なポイントになってくるが、その社会科学分野の研究でよく使われるそれぞれの視点について詳しく学ぶ。哲学的な授業だけどここでしっかり学べば論文を書く際に何が必要かなどの基礎が大分分かってくる。

 

Educational Planning-Theory and Practice (12月)

…UNESCOやWorld Bankの統計、教育方針(Policy document) などを使ってそれぞれの国や地域ごとの教育政策面における改善点、課題点をみんなで見つけていく授業。クリスマス~年明けにわたって論文課題を完成させなければならないので鬼。論文内容自体は難しくないがデータを集めるのに想像以上に時間がめちゃめちゃかかった記憶がある。

 

第2ターム

Education and Development (1月~2)

…第1タームの最後の授業ではどちらかというとUNESCOなどの国際機関の統計を学んできたが、この授業では、そういった統計や指標がどのように歴史的に発展してきたのかについて学ぶ授業。今までの視点とは180度変わった視点が得られる。いろいろな事柄を批判的に捉える視点も身に着けることができる。

 

Globalisation and Education(2月~3月)

…国際比較をするうえでGlobalization, Internationalizationなどを通した視点は必要であるが、Globalizationってじゃあそもそもどういう意味だろう?CosmopolitanismやNationalismと比べて何が違うの?といったそれぞれの用語の概念について学んでいく授業。知っておくと便利な用語なのでためになる授業。

Introduction to Educational Research Methods (3~5月)

修士論文で自分の研究したい内容、その研究に向けての具体的な計画にむけて(研究法、データの集め方、研究目的など)の大まかな内容を学んでいく。後で楽になるのでここでしっかりと学んでおくことがお勧め。私の学年はこの授業からがっつりとオンライン授業に変わってしまい、教授陣もオンライン授業になれていなかったこともあって少してこずったイメージがあるので、皆さんが行くころにはまたキャンパス授業に戻ってスムーズに授業が進むことを願っている。ちなみに、最終の修士論文では、ここで書いたのとまったく違う研究をしました。そんなもんです、研究って。

 

第3ターム

 

ここから修士2年生に入ります。
修士1年の間は、1タームの中で単位数7.5ECTSの授業が2つと、
単位数15ECTSの授業が1つ、合計3つの授業を受けるという感じでしたが、

修士2年の授業では、前半は7.5ECTSの授業が4つと、毎月ごとに授業が変わり、後半はがっつり修士論文の執筆に入っていきます。

また、第3タームからは選択科目が出てきます。1年の終わり、夏休みに入る前くらいにどちらにするか決めなくてはならなかった記憶があります(おぼろげ)。

選択科目では、9月分の授業を2つの選択肢から1つ選び、10月分の授業をさらに2つの選択肢から選びました。

2023年版のプログラムを見てみると、科目の内容は同じですが、私の在籍していた時と比べて選択できるタイミングが異なっております。

現在は「Human Rights and Education」と「Language and Education in an International Perspective」のどちらか一つ、

そして「Education for Sustainable Development」と「Educational Management and Leadership」のどちらか一つを選ぶ感じになっていますが、

私の時は
「Human Rights and Education」と「Educational Management and Leadership」のどちらか、

「Language and Education in an International Perspective」と「Education for Sustainable Development」のどちらかのパターンでした。

下記に書いている順番と感想は、私が在籍した当時のものになっておりますが、内容はさほど変わりないと思いますので、参考になればと思います!

 

選択科目1(下の2つのうちどちらか)

Education for Sustanable Development (9月)

…国連が提示しているSustanable Development Goalsに向けた教育政策について学ぶことができる。私は選択しなかったので感想は特に言えない。授業は楽だったと友達からきいた。

Human Rights and Education (9月)

…主にUN Declaration (世界人権宣言)の内容とその取り組み、特に人権教育の政策面について批判的視点で考察していく授業。課題もためになることが多く個人的にすごく面白かった。担当教員によっては課題図書として「この本読んでね~」とざっくりしか指定されないこともあるが、この授業では毎授業ごとにチャプター2~3個分を指定してくれていたので、授業のストラクチャーとしてもフォローしやすくて好きだった。
(決して楽だったとは思っていないけど。)

選択科目2(下の2つのうちどちらか)

 

Education Management and Leadership (10月)

…教育マネジメントや、実際に教育機関を率いていくために必要な知識について学べる授業。私は選択しなかったので感想は特に言えない。

 

Language and Education in an International Perspective (10月)

…言語、マルチリンガリズム、イマ―ジョン教育など、言語教育におけるそれぞれの用語の意味や言語学に関する歴史など、言語教育について広く浅く学ぶことができる言語教育入門の授業。まさに研究分野ドンピシャの授業だったので、めっちゃ期待した割にはまあまあだった記憶がある。現在は少し改善されていることを願う。

 

In-depth Studies in Research Methodology (11月)

…第2タームの最後に研究法の概要を学んだが、ここでは実際にその研究法をどのように使っていくのかを具体的に学んでいく。ここで大体自分がどのような研究法を修士論文で使いたいのかをなんとなく定めておくと次につなげやすい。ただ、質的研究法・量的研究法・ミックスメソッドなど、どれもこの授業では学べるので、授業を受けている間は自分の使いたい研究法だけに絞って勉強するのではなく、なるべく色々な研究法に目を向けて授業を受けることがお勧め(これからも研究を続けようと考えている人は特に)。

 

Specialised Literature (12月)
…自身の研究したい分野の先行研究を調べ上げていく授業。授業と言ってもレッスンは一回しかなく、そのあとは完全に自分次第。必要に応じてスーパーバイザーと相談しながら先行研究漁りを進めていく。最後に論文提出があるが、そこでは自身が先行研究で得た知識を発表していく。定期的にスーパーバイザーに課題論文を提出し、進み具合をチェックされる。

 

第4ターム

Master's Thesis in Education with International and Comparative Specialisation (1月~5月)

 

修士論文を書く。4か月はあっという間に過ぎるので、結構計画的に進まないと公判が大変なことになる。今まででどこまで研究内容や研究方法を詰められているかによってここの進み具合が変わってくる。

あと、第3タームの「In-depth Studies in Research Methodology」と「Specialised Literature」の授業で、研究方法や先行研究をしっかり勉強してまとめておけば、修士論文の入りの部分が大分楽になるのでお勧め。

 

5月に最終論文を提出し、6月初めに口頭試問がある。
口頭試問では、自分と評価教員、あとはもう一人同級生がOpponentとして参加する。
口頭試問では、最初にOpponentの人に私の論文について発表してもらい、その後Opponentからの質疑応答、そして評価担当教員からの質疑応答に移る。

教員からの質問は、担当教員によって厳しい質問があったりもするが、ひどい評価がつくというわけでもない。基本的にはちゃんと準備して考えていればこたえられる質問が多い気がする。

また、口頭試問の陪席は自由で、友達でも家族でも誰でも呼んでいいこととなっている。
たまに他の教員や、自分のスーパーバイザーが応援に来てくれることもある。

 

…とまあこんな感じです。


また、第3タームの選択科目ですが、ストックホルム大学の国際比較教育学科は割と先進的な学科なので色々新しい授業を毎年第3タームで取り入れています。実際に上記の選択科目内容も、去年と比べて少し変更しているみたいです。なので、もしかしたら皆さんが受けるときはまた少し変更された授業内容になっているかもしれませんのでそこだけご了承ください!

 

授業形態

日本の大学などでは大体1セメスターに複数の授業を受講して、学期末にまとめてテストを行う、課題を提出するといった複数の授業を並行して学んでいく形態が多いと思いますが、国際比較教育学科では期間ごとに1つの授業のみを受講します。期間内に論文課題時期が設けられているので、例えば1か月間のみの授業でしたら、最初の20~23日ぐらいまでは授業期間、あとの7~10日間は論文課題準備期間という風に決められています。

また、授業にもよりますが、週に平均3,4日は授業があります。


授業形態は
レクチャータイプの授業、クラス内でディスカッション、グループディスカッション、グループワーク、グループプレゼンテーションなどが主です。
グループディスカッション、グループワーク、グループプレゼンテーションはほとんどの授業で含まれます。

特に大変な時は午前中にグループワーク、午後にプレゼンテーションという怒涛の一日もあったりします。限られた時間でディスカッションを結論まで持っていき、

プレゼンテーション用に皆でパワポも作成しなければいけないので、本当に終わった後はぐったりします。

ただ、本当にアウトプットする機会が多いので、2年間を通して発言力・発表能力などは自然とついてくるかと思われます。

私も最初は発言をするのが苦手で、毎回グループワークやプレゼンテーションですごくエネルギーを消費していましたが、だんだんと発言する勇気というか、意欲がわいてくるようになります。(少なくとも私はそう感じます。)クラスメイトに慣れてくということも理由の一つかもしれませんが。

 

授業内で発言する人は確かに授業を活発にしてくれますが、発言しない人=何もわかっていない人というわけではありませんし、授業内で発言しないからと言って特に悪い成績を付けられることはありませんのでそこは安心してください。

ただ、わからないことはどんどん発言して自分のものにしていくことは自身の学びにつながるとは思います。

もちろん、グループワークやディスカッションではなるべく積極的に参加する姿勢は大事です。

課題図書は授業や教授によって変わりますが、大体一回の授業に論文2つ(トータル30ページ前後?)ぐらいが平均です。
たまに課題の本を一冊提示してくる教授や、ありえない量の課題量を提出してくる教授もいますが、期間ごとに一つの授業を集中的に勉強していくので普通に考えてそんな量を読むのは無理です(めちゃめちゃ読むの早い人でない限り)。

そういった場合は自分が面白そうだと思う章やためになりそうな章を一つ二つ選んで自分のペースに合わせて勉強することをお勧めします。


成績はどの様につけられるの?

まず成績自体は100%論文内容で決まります。

ただ、論文を提出できる条件として、出席率が80%以上を満たしている必要があります。

 

その他にも授業によってはopponent paper課題と言って、他の学生の論文を読んで評価し、評価内容を提出するよう求められる場合があります。これは成績には直接関係ありませんが、opponent paperを提出することが授業の参加完了条件として設けられています。

 

また、単位数15ECTSの2か月間の授業の場合は、opponent paper課題の少しグレードアップしたopposition課題というものがあります。
こちらは他の学生の論文を読んで他の人にどんな内容であったかプレゼンし、さらに論文を書いた当事者に対しコメントやアドバイス、質問などを行います。その様子を教授にもチェックされます。(成績を付けてくれる教授のみがこのoppositionに出席するので教授陣全員に見られるわけではありません。)

これは最後の修士論文のコースで行われる口頭試問の練習でもあります。

opponent paper 同様完全に成績内容には結び付きませんが、これに参加しなければ授業を完了したものとして認められません。

 

学科の特色

                 Close up of crystal globe resting on grass in a forest Free Photo

学科の特色として挙げるべきだと思うことは、本当に国際色豊かだということです。

学科の学生は世界各国から来ており、

ヨーロッパ含めアジア圏、北アメリカ大陸南アメリカ大陸、アフリカ大陸など、本当に様々です。

 

毎年40人ほどがプログラムに入ってくるのですが、本当に同じ国出身のクラスメイトがいる方が稀!というくらい、皆それぞれ全然違う国、所にルーツを持っています。

 

私の代も日本人は1人のみです。

 

本当にいろんな国から集まってきた仲間と関係を築いて行くことが楽しいのはもちろんですが、授業の中でも、色々な国の事例や教育事情などが飛び交い、色々勉強になります。

そして、他の学科生が何か日本のことで聞きたい時は私に質問をしてくるので、日本人代表としてプログラムに参加している気持ちになります。


いろいろな国からの視点が学べる他に、日本のことで思ってもみなかった質問を受けることもあり、日本人だから当たり前と思っていたことでも他の国にとっては普通じゃないんだ!と日本について気付かされることもあります。

 

とにかく日々クラスメイトとディスカッションしたりお話するのは本当に楽しいですし、お昼時間に一緒にご飯を食べながらお話をするだけで色々な面で文化を学べます。

 

もう一つ特色として挙げるのであれば、年齢問わず様々な人が学生として学びに来ていることです。

 

子育てをしながら修士を勉強している人もいるし、スウェーデンで働きながら勉強をしている人もいます。また、クラスメイトはクラスメイトですし、年齢問わず皆友達のように話すので、相手の年の差を気にしたり、考えたりすることも全くありません。

 

一方で、EU圏から来た人、もしくはスウェーデンに長年住んでいる人であれば学費を払う必要がないからなのか、途中でドロップアウトする人も少なくないことは事実です。

もちろん、いろいろな事情がありますし、自分に合うと思わなかったら無理に修士を続ける必要はことさらありませんが、

 

日本の大学よりも途中でやめていく学生が多いのは事実です。

 

私の学年も第1タームの終わりごろには2,3人の学生はやめていき、その後それぞれの事情、新型コロナウイルスパンデミックにより大学自体がオンライン授業に移行したことなども相まって、さらに数人の学生がいなくなってしまいました。

 

ただ、フレキシブルだと思うことは、おそらく日本の大学も同じだとは思いますが、事前に学部に伝えておけば、学費を余分に払うことをせずに一定期間休学することができます。

なので修士1年を終えてから休学して1年間インターンシップでフルタイムで働き、その後修士2年目として戻ってくるというケースや、育児の関係で1年間休学するというケースなんかもあります。

 

例えば、今年の例でいえば、オンライン授業に変わった事もあり、キャンパス授業に戻るまで休学するという選択をした学生なんかもいます。

 

 

といった風に、やめるのも続けるのも自分次第、自分の意思次第だということがよくわかります。

 

教授とのフラットな人間関係

もう一点スウェーデンの大学で特徴的だと思うのは、教授と学生との関係がとてもフラットだということです。

 

例えばそれは教授への呼び名でも見られ、スウェーデンの大学では基本的に教授の名前は下の名前で呼び、「Professor」などといった敬称はつけません。

 

いつも「Professor○○」「○○先生」などと呼ぶのに慣れていた私はなかなか最初は敬称を使わないスタイルになれませんでしたが、今ではすっかり下の名前のみで教授のことを呼んでいます。

 

また、もう一つ先進的だなと思う私の学科の特徴は、先生と代表生徒とのプログラムについての全体ミーティングが月に一度行われることです。

 

どういうことかと申しますと、毎年、学年で二人ずつ、Representativesという学生と教授との橋渡し役を担う代表生徒が選ばれます。選ばれた二人の代表生徒は、毎月開かれる教授とのミーティングに参加し、プログラムを通して出てきた同級生たちが抱いている疑問や問題点などを教授に直接持ち掛け、問題解決や疑問解消を図ってくれます。

 

このミーティングのおかげで学生間で抱いている様々な考えなどを、直接プログラムリーダーである教授に伝えることができ、さらに教授の直接の意見を学生側も受け取ることができるので、その都度問題や疑問を解消してくれ、とてもいいシステムだと思っています。

 

また、こういった学生からの意見が今後のプログラム改善や向上に大きく関わってくるので、とても役に立つ制度です。

 

授業以外に何かイベントとかはあるの?

授業以外にキャンパスで定期的に行われるイベントとしては

 

Mentoring Program...カジュアルな形式で教授や同期、同学科の他の学年の学生などと一緒に研究をする上での疑問点などを話し合うプログラム。完全に参加自由。教授に相談というよりは教授含め他の学生と一緒に話し合いながら進めていく感じ。

 

Almuni Panel …これはよく聞くやつかもしれませんが、アルムナイという同じ学科の卒業生が現在歩んでいるキャリアについて説明し、卒業後の進路などの可能性、選択肢を在学生にアドバイスしてくれる制度。年に1,2回くらいやっているイメージがある。仕事だけでなくPhDや博士課程を目指している学生向けのイベントもある。

 

Exchange Programme, Traineeship Program…学科でいくつか留学先として提携している大学があり、そこに半年間交換留学に行きたいという希望者のために毎年説明会を開催してくれる。割といろいろな提携先がある(詳しくはこちら。※ただし、このリンクに載っている大学の中で、ほとんどの大学は大丈夫であるがいくつかの大学はもう提携が切れてしまっていたりもするので注意が必要!学部の教員さん早く新しい情報更新して~)。留学プログラムと並行してインターンシップや卒業後のトレイニーシップに参加したいと考えている学生向けに説明会も開催してくれる。これも年に2回ぐらい。

 

あとは定期的なパネルディスカッション...PhDの学生のディフェンスや、他大学の教授によるプレゼン・ディスカッションイベント、学科の教授による研究発表など定期的に色々カンファレンスやイベントが開催される。

 

 

とまあこんな感じです。

その他に、参加自由の研修として、UNESCO研修、フィンランドのユヴァスキュラ大学への研修、ユヴァスキュラ大学・東京大学ストックホルム大学の三校合同セミナーなどもあります。

少し詳しく見ていきます。

 

UNESCO研修...毎年6月と10月にある。6月はパリにあるユネスコ支部、10月は確かドイツにあるユネスコ支部への見学ができる。見学料は無料。参加自由。ただし旅費は自分で払わなければならない。

 

ユヴァスキュラ大学研修フィンランドにあるユヴァスキュラ大学(University of Jyväskylä)に研修に行ける。そこで同じような教育学部のプログラムで学んでいる学生たちと交流しながらディスカッションなどを行う。10月のユネスコ研究と同じぐらいの時期に行われる。こちらも旅費は自腹。

 

三校合同セミナー(Joint Seminar)…毎年2月末ごろに行われるセミナー。ストックホルム大学に日本の東京大学フィンランドのユヴァスキュラ大学の学生たちがやってきて、プレゼンテーション、ディスカッション、ストックホルムの街巡りなどをして親睦を深める交流会。参加自由。運が良ければスウェーデンの高等学校や小学校などへの見学に連れていってくれる。

 

プログラムを通しての感想

まだ私はあと半年プログラム完了までに残っているのですが、このプログラムを通してやはり一番成長したと感じるのはアカデミックスキルです。それは英語での学術論文の書き方もそうだし、理論的枠組み、研究法など、割としっかりと教えてくれる学科だと思っています。

ここに来るまでは英語の論文の書き方なんて全く知識もなかったのですが、今ではしっかりとした論文が書けるようになりました。これは先ほども言った通り、プログラムでは毎月、もしくは2か月に一度論文を仕上げなければならないのでその分練習する機会をたくさん与えられているからだと思います。

 

また、ディスカッションスキルも確実に伸びたと思います。割と生徒参加型の授業が多く、それなりに積極的参加が求められる学科だからこそ身に着けることができたスキルだと思います。それに加えてグループワークもたくさん設けられているのでチームワーク力なども身につきます。

 

あとは授業を通してクリティカルに、批判的に物事を考える力もつきました。私は割と見たもの、読んだものをそのまま鵜呑みにしてしまう習性があるので、まだまだ伸びしろだらけですが、それでも依然と比べて、他の論文などで説明されている事柄や表現のされ方に対して敏感になるようになりました。

 

もちろん客観的に見てプログラムの改善すべき点などは多少はあると感じますが、上記に述べたように、総じてしっかりと学習面のサポート含め環境が整っている学科だと感じます。

 

一点、言うとすれば、「めちゃめちゃ忙しい」ということです。まじめに取り組んでいれば単位はもらえるので、そこまで難しいとは感じませんでしたが、なんせ課題論文の提出の後に休みなく次の授業が始まったりするので、忙しい、休む暇がない、などで体力を結構使います。

修士課程はどこでもそんなものなのかな?皆さん適度に息抜きしましょうね。

 

私は基本的に勉強が好きですし新しいことを学ぶことが好きですが、それでも毎日課される論文の課題に辟易することもありますし、授業が終われば次の日の授業の課題図書を読んで…の繰り返しにつかれることもあります。しかし適度に力を抜いて休憩を取りながら、毎日課される課題に真摯に取り組んでいけば卒業後にはきっとすごく成長していると思います!

 

まとめ

今回はストックホルム大学教育学部、国際比較教育学科(Stockholm University Department of Education with International and Comparative Specialisation)についての具体的なプログラム内容について学科の授業内容、授業形態、特色などを中心に紹介してきました。

 

一応思いつく限りプログラムの内容や特色について書ききったので、皆さんもなんとなくプログラムのイメージがつかめていることを願っています。

 

もしも分からないこと、不明な点などございましたら可能な限り頑張って答えますのでこちらにコメント、もしくはインスタグラムもやっておりますので、アカウント@tomolog_logにてDMを送ってくだされば対応いたします。

(返信に時間がかかる場合がございますがどうかご了承ください。)

 

 

ご覧いただきありがとうございました!

 

f:id:ToMoLog:20201104193824p:plain